昨日、代金引換の荷物が届いたのだが、代金分(四桁……)の現金が手元になかったので次の日に来てくれるように頼んだ。
　今日は休みだったにも関わらず、金を下ろしに行くためにいつもと同じ時間に起きた。金をしまうため鞄の奥のポケットを開けたら紙幣が入っていた。以前下ろした金がまだ残っていたのだった。

　その荷物とは「晒よし飴」と「霜ばしら」。

　晒よし飴には非常に思い入れがある。
　まだ小学生の頃、とあるお宅で「これ、サラシアメっていうの」と、真っ白な白いお菓子を出された。
　それは確かに飴の味がしたが、かじるとサクリととろけ、まるでウエハースのような食感だった。
　成長したのち、あの「サラシアメ」をもう一度食べてみたいと思ったが、いったいどこで売っているのか見当もつかない。
　そんな折、新聞に入っていたチラシに「川崎名物　晒し飴」というものが載っていた。
　これぞあの「サラシアメ」に違いない、と私は電車を乗り継ぎ、川崎まで行った。
　ところが、やっと見つけた「川崎名物　晒し飴」は、あの「サラシアメ」とは似ても似つかぬ、コロコロとした丸っこい飴玉だった。私は深く失望し、「王様のたからもの」で立方体が宙に浮いて見える貯金箱を買って多少の憂さを晴らした。
　それでも「サラシアメ」への渇望はやむことなく、私はとある雑誌に「こういうお菓子を知りませんか」と投稿し、それは運良く採用された(当時はネットがそんなに普及していなかった)。
　二ヵ月後、「それは、仙台の『晒しよし飴』ではないでしょうか」という回答が掲載された。
　仙台住む親戚に、「こういうお菓子があるそうなので送ってくれないか」と頼み、しばらくして届いた現物は、確かにあの「サラシアメ」だった。

　こんな紆余曲折を経て、ようやく私は思い出の菓子と再会したのだった。
　最近、製造元がネットで通信販売を受け付けている事を知り、注文してみた。一緒に注文した「霜ばしら」はほぼ「晒しよし飴」と同じものだが、一回り小さくてより食感が軽い。まさに踏むとはかなく折れる霜のようだ。
　ついつい一缶食べてしまった。