2024 11,27 23:38 |
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
|
2019 09,16 15:39 |
|
ようやく「乙嫁語り」6~11巻を読んだのでざっと感想など。
行き詰ったアミルの実家が一族総出で村に攻め込むが実は味方に捨て駒にされていたり、アミルが実父を殺す寸前まで追い詰められたりと、なかなかハードな展開になるのだが……全く心に響かない。なんで土地が足りない遊牧民が定住民の街を襲うのか。有力者に嫁がせていた娘が死んで使える土地がなくなって一族が困窮とか言われても簡潔に説明されるだけなので全然共感できない。「あーハイハイ大変だったね」って感じ。 というか二回も実家が街に攻め込んできた(一回目は数人規模だったとはいえ)のに、周囲の人がみんなアミルに好意的なのはなんで? 本人に非はないけど「あの人のせいで」みたいなことを言う人はいないし態度がよそよそしくなったりもしない。それどころかおらが街の大事な嫁さんを奪っていこうとした!みたいな反応でむしろアミルが被害者扱いだ。 * * * そしてアミルがカルルクのもとに嫁ぐことになった経緯も語られるのだが…… 今更かよ! もっと早く触れておけよそういうことは! つーか前に言ってたことと微妙に違うじゃねーか! 前に四コマで「13歳の頃から結婚話はあったが父の気に入る相手ではなかった(だから結婚が遅れた)」と言っていたのに、「病気で一族の人間が減って人手が足りなくなって結婚できずにいたが、一生家族の世話は可哀想だから相手が年寄りでもいいから結婚させろということになり……」に変わっている。 まあ ・父が結婚話を断り続けていた ↓ ・病気で一族の人間が減る ↓ ・行き遅れる なら矛盾があるというわけではないのだが、今までさんざん「12歳の夫ともすぐ打ち解ける、天真爛漫で無邪気なアミル」を描いておいて、実はおじいさんに嫁がされると思っていたけど実際は12歳の少年で良かった、とシリアスな表情で言われても今更何それ?である。 そもそも、である。 アミルとカルルクは今までそれについて一度も話し合ったことはなかったのか? お互いに聞いていた、あるいは予想していたのとは全く違う結婚相手に少し驚いた程度ですぐに打ち解け、二人で出かけたりじゃれあったりしているのに結婚に至る経緯については何も話していない夫婦って何なの? この二人、普段はどんな会話をしているんだ? * * * 以前も取り上げたが、SF作家の山本弘氏がブログで「乙嫁語り」について少し触れていた件。 いや、あのマンガって、最初に「19世紀 中央アジア」ってナレーションされてるよね?しかしその後 ・クリミア戦争(1853-1856)の後で露土戦争(1877-1878)の前→1857~1876 ・使われている写真技術から1871年より前→1857~1871 ・ロシアの支配下にはいる前だから1868年より前→1857~1867 ・カルルクの家があるのはブハラの近く、ということは恐らくブハラ・ハン国 とかなり時代や地域が絞られてしまった。 だが、この件に関しては山本氏の指摘には異を唱えたい。正確かどうかはさておき、森薫はあれだけ色んなネタを詰め込み、緻密に描き込んでいるのだ。「作者は正確に描くつもりはありませんと宣言している」なんて言われるのは不本意なのではないだろうか。森薫本人は当時の中央アジアを正確に描こうとしていると思う━━ただ、自分の萌えが前に出過ぎているだけだ。 * * * パリヤとウマルは一応ラブコメしている……のだろうけど、何だろう全然面白くない。恋愛のときめきとかもどかしさとか感じられない。ラブコメはあくまで刺繍やパンの模様や水車を描くための舞台でしかないからだろう。 * * * 意味ありげに拾われたスミスの時計が巡り巡って面白いことになっていたとか、「ご希望の品」がカメラだったとか、まぁ相変わらず可もなく不可もない話だったが、タラスの再婚相手の話、あれはひどい。再婚した妻が他の男を愛していたので「旅の途中で死んだことにする。結納金も戻ってくるし」とわざわざ遠くまで旅行に連れ出してくれる夫って? ペルシャの百合妻の夫といいこの再婚相手といい、周囲の人間がみんな主役に対して異常なまでに好意的。たとえ村に攻め込んできた張本人でもアミルの兄だから「その人はいい人よ私見てたわ」という人がたくさん現れて無事でいられるという、ひたすら都合の良い世界。バクラヴァ並に甘ったるい。バクラヴァが出てきたかどうか記憶にないけど最新刊でイスタンブールに到達してたから別にいいよね。 というわけで6~11巻もいつもの森薫ショーだった。 今後はロシアに征服される直前の時期に、カメラを手に入れたスミスがまた元来た道を辿るということは、ほぼ善人ばかりのステキな世界を描いておいて、こんどはその人たちがロシアに征服されるさまをスミスが記録していく話になるのだろうか。 もし、これまでのパンや刺繍がどうの、弓と馬がどうのという話が、後になって無残に踏みにじられるための仕掛けだとしたらすごいと思う。 あるいはロシアの侵略は匂わせるにとどめ、アミル達はこの後も幸せに暮らしました、で終わるのか。 どちらの展開になろうと大して変わりない気がするのは何故だろう。 PR |
|
コメント |
本当に稚拙なストーリーで人間味のない作品ですよね
湿板写真技術等も調べていてなんて素晴らしいんだ等の意見も散見しましたが私的には作者ならそれくらい調べて普通では...?と謎の持ち上げぶりに違和感しかありませんでした イスラム世界の専門家から見ても突っ込み所満載らしいですしね それでも読ませる力があるならまだしも 素人の私から見てもイスラム圏にありがちな名前の人物は多少登場しても中央アジア特有の日本人には耳慣れない名前の人物がほとんど登場しないのが気になります 現地にリスペクトがあればもっと考証の余地があるのではないだろうか?と思う部分もとても多いですね 【2019/11/2409:01】||とき#5db9413bec[ 編集する? ]
|
>とき様
本当に中身のない話ですよね。 緻密に描き込まれていて善人ばかりなので、 とても素晴らしい話のように感じる方が多いのでしょうか。 意味ありげだった「ご希望の品」が ただのカメラ(当時は貴重品だったと思いますが)だったのには 軽く脱力しました。 写真技術なんて、それこそ調べて当たり前ですし 「これだけ調べましたよ!」とばかりに描いているあたり 調べたことを描くのが第一でストーリーは二の次なんだろうなという気がします。 【2019/11/2620:30】||Serrat#6b080b1f6a[ 編集する? ]
|
コメント投稿 |
|
忍者ブログ [PR] |