画面の密度が、しょっぱなも読み進んでも読み終えても、とにかくすごくて、ため息の連続だった。ページを開くたびに、うわああっと思い、読み終えた感想は「すごい本」だった…。なんだかよくわからないが、ふたりの漫画家が、自分の表現したい世界を一緒に作れる相手と出会いクォリティの高さのタガが外れて、ブチ抜けている。
けれど「プリニウス」は、ギャグマンガではないので、日本のなにかに強く肩入れして、問題定義と経過と解決を探るというわかりやすいドラマを追う、という作り方をしていないので、私は話が退屈に思えた。あー、これはバンドデシネ(ヨーロッパの大人マンガ)寄りってことか…。絵を見て、絵が作り出した世界に没頭する、絵に酔う世界。バンドデシネファンの長男と、お互いのマンガの読み方について話したときに、長男はきっぱりと「話はいらない、絵だけ見ている。今のジャンプは、磯兵衛しか見ていない、磯兵衛の顔見てるだけですげえ笑えるし、すごいし」と言い切っていたので、そのときバンドデシネの読み方と魅力がすごく理解できたのだった。「ごめん、わたしバンドデシネにドラマを求めていたわ」
ドラマは見せてくれそうもない、ただただ、この世界の不思議、古代ローマのとある出来事、そして実力ある似たもの同士のマンガ家が出会って作品作りをする奇跡という、日常からの剥離、夢の時間を2本のペンで見せてくれるだけだ。